2009年5月22日金曜日

危機の時代 - オルテガ

スペインの哲学者、オルテガ(1883-1955)によれば、中世封建時代の思想が内部崩壊してから、人間の自由の探求が始まる近代社会までの約300年間は「危機の時代」というそうだ。ルネッサンスの時代でもあるわけだが、古き世界感や信念体系が崩れ、新しい物が成立しない時代で、正に世界観の崩壊状態だったが、その混沌と混乱の中で、原点が見直されて行く中で、近代という社会が出現したという。となると、合理主義の思想、市民革命を経て出現し、今まで続いたこの近代社会は、フクヤマが言うように、冷戦の終結で、その「自由を求める」という原理の躍動に終止符を打ち、世界観の再びの崩壊を向かえているのも知れない。世界がネットで結合された、マクルーハンのいうグローバルビレッジの中での、新しい次の世界観、世界社会が目に見える頃まで生きてはいないとは思うが、地縁、血縁の古代社会性を残したままの擬似的近代社会を過ごした日本は、次の世界観の中ではどうなっているのだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿